▼人外

■神獣・霊獣

麒麟きりん 王を選び王に仕える神獣。普段は人型。獣型は金色の鹿に似た生き物。毛並みは雌黄、背が五色、鬣は金。馬のような蹄、尾の付根は細い。
この世のどんな生物よりも速く宙を駆ける。その性は、仁にして争いを厭い、血や怨みに弱い。黒麒麟、赤麒麟、白麒麟などもいるが、誕生はごく稀。
蓬山の捨身木から獣型で生まれ、五年程で人型になるようになり、角が生えはじめる。角が伸びきれば(普通、十代の半ばから二十代の半ばほど)成獣となり、外見の成長が止まる。
髪は伸びるのが止まるまで伸ばすのが普通。
角を封じられると力も封じられる。妖魔を折伏し契約によって使令として使役し、身を護る。
玄武げんぶ 小島ほどもある巨大な亀。王と麒麟が天勅を受けた後、雲海を渡って王宮へと運ぶ役目を持つ。甲羅は岩のごとく、背には小さな宮がある。玄武が雲海を通った軌跡は、下界では瑞雲と呼ばれる。
朱雀すざく 詳細不明。蓬山の使い鳥のようなもの?
鳳凰ほうおう 梧桐宮に棲む牡の鳳と牝の凰のつがい。凰は他国の凰と意志の疎通ができ、鳳はそれを受けて他国にあった大事を鳴く。
白雉はくち 梧桐宮内部の二声宮に棲み、その生涯に二度だけ人語で鳴く。よって、別名を二声という。一声が「即位」、二声が「崩御」。二声を泣いた白雉は一刻を待たずに死ぬため、二声を末声ともいう。
生きているうちは、素通りしてしまい剣などで傷つけることができない。王が斃れたあとは、その脚が印影を失った御璽の代わりをする。
らん 人語を記憶して直接言葉を運ぶ鳥。梧桐宮に棲み、所有する王が発信するか、受信するかにしか使えない、いわば王の親書。青い文のある羽、嘴と脚が赤い。尾羽の色が国によって違い、慶国の鸞は濃い青に白い斑のある長い尾。銀しか食べない。身体に留まっているときに言葉を覚える。
天伯てんはく 身体は龍、大きな両翼。令乾門の守護者。令乾門を通らずに黄海へ入ろうとする者を雷で打ち、魂魄を取って喰らうという。門が開くときには、手足に鋼の戒めをつけた老爺の姿をとる。


■天神・天仙

天帝てんてい 世界と摂理を創造したと言われる神。玉京におり、神々を束ね、世を整えると言われる。子宝を願う。
西王母せいおうぼ 五山の主。凡庸で無機的な容姿。
王夫人おうふじん 蓬山の主。蓬山の大真廟に祀られている。
堯帝ぎょうてい 豊作を願う神。
禹帝うてい 水害を逃れる神。
黄帝こうてい 妖魔を逃れる神。
碧霞玄君へきかげんくん 蓬山の女仙の長。名は玉葉。人界と天界を繋ぐ、窓口の役目をする。
催上玄君さいじょうげんくん 里木に子を願う人の名簿を作り、西王母に献上するという。
送生玄君そうじょうげんくん 子供のもとを捏ねて卵果にする。
送子玄君そうしげんくん 里木に卵果を運ぶ。
犬狼真君けんろうしんくん 黄海の守護者。皮甲を纏い、玉の披巾を持つ。黄朱の民に里木を与えた。


■妖魔

褐狙かっそ 虎のように大きな赤い毛並みの狼。真っ黒な目。
窮奇きゅうき 翼のある虎。
キンゲン 鶏大の鳥。毒のある小刀の形をした尾を持つ。
ゴウユ (詳しい外見の記述なし―猪に似た獣?)
蠱雕こちょう 角のある獰猛な巨鳥。茶色の翼、胸毛に斑紋。太く鋭い爪を持つ。
酸與さんよ 四翼の蛇。人の身の丈の倍ほどの長さ。
朱厭しゅえん 巨大な赤毛の猿。首だけ白く、足がひときわ赤い。良く尖った牙、猛禽のような爪、狡賢な知恵。
天犬てんけん 赤い身体、青い翼、黄色い尾、黒い嘴の巨大な狼。
饕餮とうてつ 最高位の妖魔。その姿は幾通りにも変化し、稀少さから伝説とさえ言われている。
馬腹ばふく 人面の巨大な虎。
賓満ひんまん 身体がなく、赤い目をした男。首の下には半透明のゼリー状のものがクラゲのようにまといついている。人に憑依し、動きを操る。戦場や軍隊に出る妖魔。
飛鼠ひそ 耳の短い兎のような、または身の細く大きな鼠のような獣。


■妖獣

吉量きつりょう 白い縞、赤い鬣、金の目の馬。
(成笙乗騎)
三騅さんすい 青毛の馬。脚力は馬の三倍。
(鈴乗騎)
騶虞すうぐ 白黒の虎。白地に黒の縞と黒地に白の縞のものがいるが、白地のもののほうが多い。ブラックオパールのような、複雑な色をした目と、身の丈ほどの長い尾を持つ。一国を一日で駆ける最高の妖獣。瑪瑙を好む。
(尚隆乗騎・たま、とら/驍宗乗騎・計都/利広乗騎・星彩)
赤虎せっこ 宙を駆ける虎。
(梨耀乗騎)
天馬てんば 翼のある犬。銀灰色に近い白の身体に黒い頭。白い羽毛、黒い風切り羽の翼。妖獣の中では性格は温和。
(李斎乗騎・飛燕)
人妖にんよう/じんよう 妖人とも言う。人と妖獣の間に位置する。
はく 馬に似、鋭利な一角、足には爪。雑食。
(頑丘乗騎・更夜)
孟極もうきょく 白い豹。利口で穏和、人によく懐く。飛行はうまくないが、脚は馬の三倍ほど。
(相家騎獣・白兎)
鹿蜀ろくしょく 馬型で、縞がある。


■使令

名 前 外 見
景麒 芥瑚かいこ 白い羽毛に覆われた身体の鳥女。翼のような腕、金茶の縞のある背、足は羽毛に覆われた人型、長い尾がある。景麒の女怪?
雀胡じゃっこ 飛鼠。泰麒に折伏を見せるために景麒が使令に下した。
ジュウサク 狒狒に似た獣。
冗祐じょうゆう 賓満。
班渠はんきょ 銅色の毛並みの大型犬に似た獣。脚が速く、最速の騎獣に匹敵する。
驃騎ひょうき 暗赤色の豹。
泰麒 傲濫ごうらん 饕餮。普段は大きな赤い犬の姿をしている。粘液に覆われた鱗をもつ。
汕子さんし 泰麒の女怪。上体は人、下肢は豹、尾は蜥蜴、首は魚の白い人妖。
延麒 沃飛よくひ 延麒の女怪。腕は白い鱗に覆われ、白い翼と、鷲の下肢、蛇の尾を持つ。
悧角りかく 濃い灰色の毛並みの三尾の狼。
廉麟 半嗣はんし (詳しい外見の記述ナシ)
什鈷じゅうこ 尾のない小型の白い犬。碧く丸い一つ眼。




十二国記データベース